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「歯石取りに何年も通っているのに、歯茎の状態が変わらない」
「歯石を取ってもすぐにまた付くので、意味がないのでは?」
「歯石を取ったら、かえって歯がスカスカになった気がする」
歯石取りについて、このような疑問をお持ちの方は少なくありません。
実際、歯石取りそのものに意味がないわけではありません。
大切なのは、どの部分の歯石を、どこまで除去できているのか。そして、治療によって歯周組織がどのように変化したのかを、歯周ポケットやBOPなどの検査結果から確認しているかということです。
歯周病の治療では、目に見える歯石を取るだけでは十分ではない場合があります。特に歯周ポケットの中に隠れている「縁下歯石」は、外から見ることができず、除去の難易度も高くなります。
東京都世田谷区の下高井戸デンタルオフィスでは、歯周組織検査やレントゲンなどの検査結果を確認しながら、一人ひとりの状態に合わせた歯周病治療を行っています。
「何年も歯石取りに通っているのに改善しない」と感じている方は、まず現在のお口の状態を確認してみることをおすすめします。
「歯石取りは意味がない」と感じてしまう理由

「今までも歯石取りに通っていたけれど、歯周病が改善しなかった」
「歯石を取っても、どうせまた付いてしまう」
「何度も歯石を取るメリットがよくわからない」
このように感じる方がいらっしゃいます。
その理由の一つは、歯周病の治療が、虫歯治療などと比べて「治療した結果が目で見えにくい」ことです。
虫歯であれば、削ったり詰めたりすることで治療前後の変化を実感しやすいでしょう。一方、歯周病では、歯茎の腫れや出血、歯周ポケット、歯を支える骨などを評価しながら、長期的に状態を管理していきます。
また、歯石を一度取り除いても、毎日の生活の中で歯垢(プラーク)が再び付着します。
そのため、歯石取りは「一度やれば終わり」という治療ではありません。
歯周病治療では、歯科医院での専門的な処置と、毎日のセルフケアを組み合わせることが重要です。
日本で行われた全国的な抜歯原因調査では、抜歯の主な原因として歯周病が多く報告されています。
出典:公益財団法人8020推進財団「第2回永久歯の抜歯原因調査」
歯を長く残すためにも、歯周病を早期に発見し、適切に管理することが重要です。
取ってもすぐにまた歯石が付いてしまう
歯の表面には、歯垢(プラーク)と呼ばれる細菌を含むバイオフィルムが付着します。
歯垢は毎日の生活の中で繰り返し形成されます。歯ブラシやフロス、歯間ブラシなどによって十分に除去できなかった歯垢が時間とともに石灰化すると、硬い「歯石」になります。
歯石は歯ブラシでは簡単に取り除けないため、歯科医院で専用の器具を使って除去する必要があります。
ここで重要なのは、歯石そのものが細菌の塊なのではなく、細菌を含むバイオフィルムが石灰化したものだということです。
歯石の表面にはプラークが付着しやすくなるため、歯周病治療では歯石や歯垢を適切に除去することが重要になります。
ただし、歯石を取ったからといって、その後まったく歯石が付かなくなるわけではありません。
歯周病を予防・管理するためには、歯科医院での専門的なクリーニングだけでなく、毎日のセルフケアによってプラークをできるだけ蓄積させないことが大切です。
1年365日のうち、3か月に一度歯科医院を受診するとしても、歯科医院で過ごすのは年間わずか数日です。
残りの日々のお口の環境を支えるのは、ご自身による毎日のケアです。
歯科医院での歯石除去は、お口の中を一度リセットするだけではありません。
その後、ご自身で清掃しやすい環境をつくり、歯周組織を安定させていくための重要なステップなのです。
歯石を取ったあとに歯がスカスカになった気がする
歯石を取った後に、「歯と歯の間が広くなった」「歯が長くなった」「歯がスカスカになった」と感じることがあります。
これは、歯石を取ったことで歯そのものが急に変化したとは限りません。
歯周病によって歯茎が腫れている場合、治療によって炎症が落ち着くと、腫れていた歯茎が引き締まります。その結果、それまで腫れによって隠れていた歯の部分が見えるようになることがあります。
また、歯周病が進行して歯を支える骨が失われている場合には、歯茎の位置も変化します。
つまり、歯石を取ったことで新たに歯茎が下がったというより、もともと存在していた歯周組織の変化が、炎症が治まったことで明確になった可能性があります。
そのため、「歯石を取ると歯茎が下がるから取らないほうがいい」と考えるのは適切ではありません。
歯周病が進行している場合には、むしろ治療を先延ばしにすることで、歯を支える組織の破壊が進む可能性があります。


何度も通うように言われることに疑問がある
「歯石取りなのに何回も通わなければいけないの?」
この疑問には、歯石の種類が関係しています。
歯石には大きく分けて、
- 縁上歯石
- 縁下歯石
があります。
縁上歯石は歯茎より上にあるため、直接見ることができます。
一方、縁下歯石は歯周ポケットの中の歯根の表面に付着しています。
こちらは外から見ることができません。
そのため、歯周病治療では、歯周ポケットの深さやレントゲン画像などを確認しながら、必要な部位に対して段階的に治療を行います。
特に深いポケットや複雑な根の形をしている歯では、1回の処置だけで十分な結果が得られない場合があります。
「何回通うか」だけではなく、なぜその回数が必要なのか、治療後に状態がどう変化したのかを確認することが大切です。
何年も通っているのに歯周病が良くならない
「定期的に歯石取りに通っている」
「歯磨きも頑張っている」
それなのに、歯周ポケットや出血が改善しない。
このような場合には、「歯石取りに意味がない」と考える前に、なぜ改善していないのかを調べる必要があります。
歯周病が改善しにくい理由には、いくつかの可能性があります。
深いポケットでは、歯根の形によって歯石を取りにくい場所があります
歯の根は、すべてが単純な円柱形をしているわけではありません。
複数の根を持つ歯もあれば、根の表面に溝や窪みがある歯もあります。
特に、複数の歯根が分かれる「根分岐部」は、器具を入れにくく、清掃が難しい部位です。
こうした複雑な部位では、歯周ポケットの中を目で確認できない状態で器具を操作するため、非外科的な処置だけでは十分なデブライドメントが難しいことがあります。
その場合には、再評価を行ったうえで、必要に応じて歯周外科処置を検討します。

不潔になりやすい環境である
歯石を取っても、プラークが繰り返し蓄積する環境が残っていれば、炎症が続くことがあります。
例えば、
- 歯と歯の間が清掃しにくい
- 歯並びによって歯ブラシが届きにくい
- 被せ物や詰め物の形態に問題がある
- 歯周ポケットが深く、セルフケアだけでは清掃できない
といった状態です。
この場合、単に歯石を取り続けるだけではなく、清掃しやすい環境そのものを整える必要があります。
咬み合わせの負担がかかりやすい歯である
咬み合わせの強い負担は、歯周病そのものを発症させる原因ではありません。
ただし、すでに歯周組織の支持が低下している歯では、過度な咬合力によって歯の動揺が大きくなるなど、治療上問題となることがあります。
そのため、歯周病の治療ではプラークや炎症だけでなく、歯の動揺や咬み合わせなども含めて総合的に評価します。
もともと特に深いポケットだった
歯周病治療を行うと、炎症が治まり、歯周ポケットが浅くなることがあります。
しかし、失われた歯周組織がすべて元の状態に戻るわけではありません。
例えば、治療前に12mmあったポケットが6mmまで改善したとします。
これは大きな改善ですが、6mmという深さが残っているのであれば、依然として清掃が難しい部位が残っています。
このように、「改善したかどうか」と「健康な状態になったかどうか」は同じではありません。
だからこそ、治療後に再評価を行い、残っている問題を確認することが重要です。
歯石が取り残されている
縁下歯石を除去する処置の一つが、スケーリング・ルートプレーニング(SRP)です。
縁下歯石は歯茎の下に隠れているため、処置中にすべてを直接目で確認できるわけではありません。
特にポケットが深い場合や、根分岐部など解剖学的に複雑な部位では、歯石の完全な除去は難しくなります。
研究でも、深いポケットほどSRPによる歯石除去が難しくなることが示されています。
そのため、SRPを行った後は「歯石を取ったから終了」ではなく、歯周組織検査によって治療結果を再評価します。
歯周外科をやっていない
SRPを行った後も深い歯周ポケットや出血が残る場合には、その原因を再評価する必要があります。
中等度の残存ポケットでは再度の非外科的な処置が選択されることがあります。
一方、非外科的な処置を行っても深い歯周ポケットや炎症が残る場合には、歯周外科を検討することがあります。歯周外科では、歯肉を開いて歯根面や歯周組織の状態を直接確認しながら、通常の処置では器具が届きにくい部位を処置することができます。
さらに、骨の形態によっては、歯周組織再生療法が適応となる場合もあります。
つまり、歯周病治療は「歯石を取る」という一つの処置だけで完結するものではありません。
検査→治療→再評価→必要に応じた追加治療
という流れで考えることが重要です。
歯周ポケットが深くなる原因が歯周病とは限らない
歯周ポケットが深いからといって、必ずしもその原因が歯周病とは限りません。
例えば、
- 歯肉の過形成
- 薬剤による歯肉増殖
- 被せ物や詰め物の形態
- 歯根の溝や発育異常
- 根面の解剖学的な形態
- 歯内・歯周病変など
さまざまな原因が考えられます。
歯周病以外の原因によってポケットが深くなっている場合、歯石を取り続けるだけでは改善が難しい場合があります。
「なぜこの歯だけポケットが深いのか」という原因を見極めることが重要です。
セルフケアが不十分である
歯周病治療において、毎日のセルフケアは非常に重要です。
歯科医院で歯石を除去しても、その後にプラークが大量に蓄積すれば、炎症が再び起こる可能性があります。
歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやフロスなどを含めて、ご自身のお口に合った清掃方法を身につけることが大切です。
「歯磨きを頑張っている」のに磨き残しが多い場合には、磨き方そのものを見直す必要があります。
タバコを吸っている
喫煙は歯周病の重要なリスク因子の一つです。
喫煙者では歯周組織の破壊リスクが高く、また歯周病治療に対する反応も低下することが報告されています。
そのため、歯周病治療を受けている方には禁煙をおすすめします。
禁煙は歯周病治療の効果を高めるための重要な取り組みの一つです。
歯石には「縁上歯石」と「縁下歯石」があります

歯石取りについて考えるうえで、特に重要なのが「どこに歯石が付いているか」です。
目に見える縁上歯石と、歯周ポケットの中にある見えない縁下歯石
歯石は大きく、
縁上歯石
歯茎より上に付着している歯石
縁下歯石
歯周ポケットの中、歯根表面に付着している歯石
に分けて考えることができます。
縁上歯石は直接見ることができるため、比較的除去しやすい歯石です。
一方、縁下歯石は歯茎の下に隠れているため、直接確認することが難しくなります。
ここに「歯石取りをしているのに歯周病が改善しない」理由の一つがあります。
取り残されやすいのは縁下歯石です
縁下歯石は、歯根の表面に付着しています。
歯周ポケットが深くなるほど、器具が届きにくくなり、歯根の形も複雑になるため、処置の難易度が上がります。
研究では、SRPによって歯石を完全に除去することは容易ではなく、特に深いポケットや根分岐部では残存歯石が問題になることが示されています。
だからこそ、歯周病治療では「歯石を取った」という事実だけではなく、その後、歯周組織の炎症が改善したのかを確認することが重要です。
レントゲンで骨の状態などを確認する
歯周病の診断では、歯周ポケットの測定だけでなく、必要に応じてレントゲン撮影を行い、歯を支える骨の状態を確認します。
口の中を見ただけでは、歯を支える骨がどの程度失われているのかを正確に把握できない場合があります。
レントゲンでは、
- 歯を支える骨の吸収
- 骨欠損の形
- 根分岐部周囲の状態
- 歯根の形態
- 歯石が疑われる部位
など、歯周病治療を考えるうえで重要な情報を得られることがあります。
特に深い歯周ポケットが残っている場合には、臨床所見とレントゲン所見を組み合わせて原因を考えることが大切です。
深い部分の歯石が残ったままになっているケース
長期間歯石取りを行っているにもかかわらず歯周病が改善しない場合、深い部位の縁下歯石が残っていないか確認する必要があります。
外から見える縁上歯石を除去するだけでは、深い歯周ポケットの炎症を十分にコントロールできない場合があります。
「歯石を取ったはずなのに改善しない」という場合には、どこまで処置が行われたのか、そして処置後に歯周組織がどのように変化したのかを確認することが重要です。
歯石取りに意味があったかどうかは治療後の変化で確認できます

歯周病治療では、見た目だけではなく、検査結果の変化を確認します。
その中でも重要なのが、
- 歯周ポケットの深さ(PPD)
- プロービング時の出血(BOP)
です。
歯周ポケットの深さが示すもの
歯周ポケットとは、歯と歯茎の境目にできる溝の深さを測定したものです。
プローブという細い器具を歯と歯茎の間に入れて測定します。
PPDが深いほど、歯周組織の炎症や支持組織の喪失など、さまざまな状態が疑われます。
ただし、「4mm以上なら必ず歯周病」という単純なものではありません。
現在の歯周病診断では、PPDだけでなく、歯周組織の付着状態(CAL)、レントゲン上の骨吸収、BOPなど、複数の情報を組み合わせて判断します。
また、歯周病治療が奏功すると、炎症によって腫れていた歯茎が引き締まり、PPDが浅くなることがあります。
一方、すでに失われた歯周組織がすべて元通りになるわけではありません。
そのため、PPDは「歯周病の履歴をすべて表す数字」ではなく、現在の歯周組織の状態を評価するための重要な指標の一つと考えるとわかりやすいでしょう。
「歯周ポケットの深さ」は、歯周病治療によってどのような変化が起きたのかを見るうえで、重要な指標です。
歯周ポケットが6mm以上になると、歯周ポケットの奥まで歯ブラシなどの清掃器具が届きにくくなり、通常のセルフケアだけではプラークを十分に除去することが難しくなる場合があります。
また、深い歯周ポケットが残っている場合には、歯周組織の状態や炎症の程度、歯を支える骨の状態などを確認し、通常の歯周基本治療だけで改善が見込めるのかを再評価することがあります。
状態によっては、歯周外科治療などの追加の治療を検討する場合もあります。
ただし、「6mm以上だから必ず歯周外科治療が必要」というわけではありません。
BOP(プロービング時の出血)という指標
BOPとは、歯周ポケットを測定した際に出血があるかどうかを調べる検査です。
歯茎に炎症がある部位では、プロービングによって出血しやすくなります。
そのため、BOPは現在の歯肉の炎症状態を評価し、治療後の変化を確認するうえで重要な指標です。
ただし、BOPがあるからといって、その部位に必ず歯石が残っているとは限りません。
また、BOPが減少したからといって「歯石がすべて取れた」と判断できるわけでもありません。
BOPは、プラークの付着、炎症の状態、プロービングの条件など、さまざまな要因の影響を受けるからです。
歯周病治療では、PPDとBOPを単独で見るのではなく、プラークコントロール、歯周組織の状態、レントゲン所見などと合わせて評価します。
長期間通っても数値が変わらない場合に考えたいこと
歯周病治療では、治療前と治療後の検査結果を比較することが重要です。
例えば、
- PPDが浅くなったか
- BOPが減ったか
- プラークコントロールが改善したか
- 歯の動揺が変化したか
などを確認します。
もし一定期間治療を継続しているにもかかわらず、検査結果にほとんど変化がないのであれば、「同じ処置を続ける」以外の可能性も検討する必要があります。
もちろん、歯周病の治療期間は病状や治療内容によって異なるため、期間だけで治療の成否を判断することはできません。
しかし、長期間治療を続けても改善が乏しい場合には、治療方法や診断そのものを一度見直してみる価値があります。
場合によっては、別の歯科医院でセカンドオピニオンを受けることも選択肢の一つです。
歯石取りに長年通って検査の指標が変わらない場合には、以下のようなパターンがあります。
- 歯周ポケットもBOPも改善しない
- 歯周ポケットは改善したがBOPが変わらない
- 歯周ポケットは改善しないがBOPが改善した
歯周ポケットもBOPも改善しない場合
どちらの数値にも改善がみられない場合には、
- プラークコントロール
- 縁下歯石の残存
- 歯周ポケットの深さ
- 歯根・根分岐部などの解剖学的要因
- 喫煙などのリスク因子
- 歯周病以外の原因
これらを確認したうえで、必要に応じて歯周外科などの追加治療を検討します。
「歯石を取っているのだから大丈夫」と考えるのではなく、なぜ改善していないのかを診断し直すことが重要です。
歯周ポケットは改善したがBOPが変わらない場合
これは、治療によって歯茎の腫れが引き、歯周ポケットが浅くなってきている一方で、炎症がまだ残っている可能性があります。
プラークコントロールや清掃方法を見直すほか、特定の部位に出血が集中している場合には、その部位に縁下歯石や清掃困難な要因が残っていないかを確認します。
歯周ポケットは改善しないがBOPが改善した場合
BOPが減少しているのであれば、炎症については改善している可能性があります。
それでもPPDが残る場合には、
- もともとの歯周ポケットが深かった
- 歯周組織の支持がすでに失われている
- 歯肉の形態や被せ物など別の要因がある
- 骨欠損の形態によって外科的治療が適している
など、さまざまな可能性を考えます。
深いポケットが残っている場合には、症例によって歯周外科や歯周組織再生療法が選択肢となることがあります。
歯周外科処置での歯石除去や、失われた歯周組織の再生を目指す歯周組織再生療法、深い虫歯と歯周組織の問題が関係するケースの治療などについても、下高井戸デンタルオフィスでご相談いただけます。
歯周病治療では歯科衛生士による継続的な管理も重要です

同じ「歯石取り」という言葉でも、縁上歯石を除去する場合と、歯周ポケットの中にある縁下歯石を処置する場合では、難易度も目的も大きく異なります。
ここでは、歯周ポケット内の処置に求められる技術や医院の体制、歯石取りで痛みや出血が出る理由、治療回数の考え方について解説します。
歯周ポケット内の処置では専門的な知識と技術が必要です
縁下歯石を除去するSRPでは、歯茎の下にある歯根表面を直接見ることができないため、歯根の形態を把握しながら器具を操作する必要があります。
そのため、歯科衛生士の知識や技術が重要になります。
ただし、経験年数だけで技術の高さを判断することはできません。
歯周組織検査をどのように行うのか、レントゲンをどのように治療に活用するのか、治療後に再評価を行っているのか、必要に応じて歯周外科につなげているのか。
こうした医院全体の診療体制も、歯周病治療の質に関係します。
日本臨床歯周病学会の認定医に求められる基準
日本臨床歯周病学会の認定医制度では、中等度以上の歯周炎の症例について、歯周ポケットの状態や治療経過、メインテナンス・SPTまでの経過などを含めた症例審査が行われます。現在の申請基準では、提出症例に一定以上の深い歯周ポケットを含むことや、メインテナンス・SPTまで治療経過を追っていることなどが求められています。
痛みや出血が強く出るのはなぜか
歯石取りの際に痛みや出血があると、「処置が乱暴なのでは?」と不安になる方もいらっしゃいます。
しかし、痛みや出血の程度だけで処置の良し悪しを判断することはできません。
炎症が強い歯茎では出血しやすく、深い歯周ポケットの処置では刺激を感じやすくなることがあります。
縁下歯石を除去するSRPでは、必要に応じて局所麻酔を使用することもあります。
大切なのは、「痛くなかったか」だけではなく、治療後に歯周組織がどのように変化したかを確認することです。
1回で終わる場合と複数回に分かれる場合の違い
縁上歯石であれば、比較的短時間で除去できる場合があります。
一方、縁下歯石が多い場合や、深い歯周ポケットがある場合には、部位を分けて処置を行うことがあります。
歯周ポケットの深さ、歯石の量、歯根の形態、根分岐部の状態などによって必要な治療回数は変わります。
「何回で終わるか」だけではなく、それぞれの治療が何のために行われているのか、治療後にどのような変化があったのかを確認することが重要です。
歯石取りは歯周病治療のスタート地点です

歯石を取ることは、歯周病治療のゴールではありません。
歯石やプラークを除去して口腔内の環境を整え、その後に歯周組織がどのように変化したかを確認する。
そして、改善が不十分な部位については、その原因を考えて次の治療につなげる。
これが歯周病治療の基本的な考え方です。
歯石を取ったあとに再評価を行います
歯周病治療では、歯石除去やSRPを行った後に「再評価」を行います。
再評価では、
- 歯周ポケットの深さ
- BOP
- プラークコントロール
- 歯の動揺
- 歯周組織の状態
などを確認します。
改善が十分であれば、メインテナンスへ移行します。
一方、改善が不十分な部位では、再度の非外科的治療、歯周外科、歯周組織再生療法など、状態に応じた治療を検討します。
つまり、歯石を取って終わりではありません。
歯石を取ることは、歯周病治療のスタート地点の一つです。
治療によって炎症をコントロールし、その状態を長期的に維持していくことが重要です。
「治療の終了」は「メインテナンスの開始」でもあります。
歯周病菌の検査を行うこともあります
歯周病には多くの細菌が関係していますが、特定の細菌だけで歯周病の発症や治療結果を説明することはできません。
そのため、細菌検査はすべての患者様に一律に行うものではなく、治療経過などを踏まえて必要性を判断します。
それでも改善しない場合の外科的な選択肢
SRPなどの非外科的治療を行っても深い歯周ポケットや出血が残る場合には、歯周外科を検討することがあります。
歯周外科では、歯茎を開いて歯根や骨の状態を直接確認しながら、通常の処置ではアクセスしにくい部位を治療します。
さらに、骨欠損の形態や歯の状態によっては、歯周組織再生療法によって失われた歯周組織の再生を目指せる場合もあります。
すべての症例が外科治療の対象になるわけではありません。
大切なのは、非外科的治療を行っても改善しない理由を確認し、その患者様にとって必要な治療を選択することです。
東京都世田谷区の下高井戸デンタルオフィスでは、歯周外科処置や歯周組織再生療法を含め、進行した歯周病の治療にも対応しています。
歯石取りについてよくいただくご質問

歯石を取ったあとにしみるのはなぜですか?
歯石を除去し、歯茎の炎症が落ち着くと、それまで歯石や腫れた歯茎に覆われていた歯根面が露出することがあります。
歯根面は刺激を感じやすいため、一時的に冷たいものなどがしみることがあります。
多くの場合は時間とともに落ち着きますが、症状が強い場合には、知覚過敏に対する歯磨き剤や歯科医院での処置などを検討します。
歯石を取ると歯茎が下がるのですか?
歯石を取った後に歯茎が下がったように見えることがあります。
歯周病で腫れていた歯茎が、治療によって引き締まるためです。
また、すでに歯周病によって歯を支える骨が失われている場合には、その状態に応じて歯茎の位置が変化することもあります。
そのため、「歯石を取ったから歯茎が悪くなった」とは限りません。
むしろ、炎症を放置して歯周組織の破壊が進行することのほうが問題です。
一方、歯茎が下がって根が露出し、審美面や知覚過敏などの問題が生じている場合には、症例によって根面被覆術などの治療を検討できることがあります。
自分で歯石を取ってもいいですか?
市販の器具などを使って自分で歯石を取ろうとすると、歯面や歯茎を傷つける可能性があります。
また、歯周ポケットの中にある縁下歯石は、ご自身で確認することができません。
目に見える歯石が一部取れたとしても、それだけで歯周病の状態を評価したことにはなりません。
歯石が気になる場合には、歯科医院で歯周組織の状態を確認することをおすすめします。
どれくらいの頻度で受けるとよいですか?
「何か月に一度」という一律の答えはありません。
歯周病の状態、これまでの治療歴、プラークコントロール、喫煙、歯周ポケットの状態などによって、必要なメインテナンス間隔は変わります。
歯周病の治療中であれば、治療計画に沿って受診することが重要です。
治療後のメインテナンスについても、ご自身のリスクに合わせて歯科医師・歯科衛生士と相談しながら間隔を決めていきます。
しばらく受診していない場合でも相談してよいですか?
もちろん大丈夫です。
「何年も歯科医院に行っていない」
「歯石がたくさん付いていて恥ずかしい」
「歯茎から血が出るけれど、今さら受診しづらい」
このように感じている方もいらっしゃいます。
しかし、歯周病は自覚症状が少ないまま進行することがあります。
まずは現在のお口の状態を検査して、どのような問題があるのかを確認するところから始めることができます。
「歯石が気になる」「歯茎の状態を診てほしい」とお伝えいただければ大丈夫です。
まとめ:「歯石取りは意味ない」と感じたときに確認したいこと

歯石取りには、歯周病治療において重要な意味があります。ただし、重要なのは「歯石を取った」という事実だけではありません。
どこに歯石が付いていたのか。
縁下歯石まで適切に処置できているのか。
治療後に歯周ポケットやBOPなどの数値がどう変化したのか。
改善しない部位には、どのような原因が残っているのか。
こうした点を確認することが、歯周病治療では重要です。
歯周病は、一度歯石を取れば終わる病気ではありません。
歯石やプラークを除去して炎症をコントロールし、歯周組織の状態を再評価し、必要に応じて追加の治療を行う。そして治療後は、その状態をメインテナンスによって維持していく。
「歯石取りに何年も通っているのに、歯周病が良くならない」と感じているのであれば、歯石取りそのものに意味がないのではなく、現在のお口の状態に対して、診断と治療が適切に行われているかを一度確認してみることをおすすめします。
下高井戸デンタルオフィスでは、歯周ポケットやBOPなどの歯周組織検査、レントゲンによる骨の状態の確認を行い、必要に応じてSRP、歯周外科、歯周組織再生療法などを組み合わせた歯周病治療を行っています。
「歯石取りを何年も続けているのに改善しない」「歯周ポケットがなかなか浅くならない」「歯茎から出血が続いている」などのお悩みがありましたら、一度現在の状態を詳しく確認してみてはいかがでしょうか。

