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「部分入れ歯を作りたいのですが、保険と自費のどちらがいいのでしょうか?」

歯を失い、部分入れ歯を検討されるとき、多くの方がこのような疑問を抱かれます。自費の部分入れ歯には、金属床義歯やコーヌスクローネ義歯などさまざまな種類があり、保険の入れ歯にはない審美性や装着感、耐久性が期待できる場合があります。

その一方で、費用は数十万円に及ぶこともあるため、「本当に自費を選ぶ価値があるのか」「どの種類が自分に合っているのか」と迷われるのも当然です。

この記事では、自費の部分入れ歯の種類ごとの特徴や費用の目安、保険の入れ歯との違い、そして後悔しないための選び方について詳しくご紹介します。

東京都世田谷区の下高井戸デンタルオフィスでは、患者さまのお口の状態やご希望を丁寧に伺い、長く快適に使える入れ歯治療を大切にしています。東京都世田谷区で自費の部分入れ歯をご検討中の方は、ぜひ当院にご相談ください。

自費の部分入れ歯とは?保険適用との違い

自費の部分入れ歯とは?保険適用との違い

部分入れ歯を作る際には、保険診療で作る方法と、自由診療で作る方法があります。

保険診療は、必要な医療を平等に受けられるようにするための制度であり、一定の基準の中で機能回復を目指すものです。一方、自費の部分床義歯は、より快適に、より自然に、より長く使いやすくすることを目指し、時間や工程、材料の選択肢を広げながら作っていく治療です。

つまり、保険と自費の違いは、単に「高価な材料を使うかどうか」だけではありません。どこまで丁寧に、その方のお口に合わせて作り込めるかという、治療全体の密度に差があります。

保険適用の部分入れ歯の特徴と限界

保険の部分入れ歯は、主に歯科用プラスチックの床に金属のバネを組み合わせて作られます。費用は3割負担でおおよそ3,000〜15,000円程度です。

保険診療は、必要な治療を広く提供するための制度であるため、厚生労働省の定めた材料や手順、考え方の枠組みの中で治療を進める必要があります。もちろん、その中でも丁寧に作ることは可能ですが、設計や材料、工程に一定の制限があるため、症例によっては完成した入れ歯に不都合が生じることもあります。

自費の部分入れ歯が保険と異なるポイント

ここでは、その違いを「設計」「材料」「製作手順」「完成後の管理」の4つの視点からご紹介します。後悔のない入れ歯治療のために、ぜひ参考にしてください。

・設計
部分入れ歯は、単に歯が抜けた部分を埋めればよい治療ではありません。周囲の歯、歯ぐき、粘膜、筋肉、噛み合わせまで含めて、お口全体の中で調和させることが重要です。入れ歯の成否は、この設計に大きく左右されます。

保険の部分床義歯でも基本的な設計は行います。しかし、入れ歯を支える歯の被せ物を入れ歯のために作り替えることが難しかったり、材料の制限によって強度的に実現しにくい設計があったりするため、どうしても限界があります。その結果、お口の中で機能する際に不調和が生じることがあります。

自費義歯では、そこからさらに一歩踏み込み、お口全体のバランスを俯瞰しながら、どの歯にどれだけ負担を分散させるか、どこに支えを求めるか、見た目にどこまで配慮するか、違和感をどこまで減らせるかまで、細かく検討しやすくなります。必要に応じて、壊れにくく、使いやすい入れ歯にするために、周囲の歯の治療まで含めて提案することもあります。

また、設計については、製作を担当する歯科技工士と複数回にわたり入念に打ち合わせを行います。お口の中で本当に調和し、長く機能する入れ歯を作るには、本来それだけ綿密な計画が必要なのです。

患者さまからすると、設計の違いは見えにくいかもしれません。しかし実際には、この設計の質が、「噛みやすい」「しゃべりやすい」「外れにくい」「痛くなりにくい」といった日常の使いやすさにつながります。

入れ歯は、単に歯を補う装置ではありません。残っている歯とお口全体をどう守りながら機能させるかを考えて作る治療です。

・材料
患者さまが最もイメージしやすい違いが、材料かもしれません。

保険の部分床義歯では、使用できる材料に一定のルールがあります。一方、自費義歯では、症例に応じてより幅広い材料を選ぶことができます。

たとえば、薄く作っても強度を保ちやすい材料を使えれば、上あごを覆う部分や床の厚みを抑えやすくなり、違和感の軽減につながることがあります。また、見た目に配慮した材料を選べば、金属のバネを目立ちにくくできる場合もあります。さらに、変形しにくさや汚れの付きにくさなど、日々の使いやすさに関わる点でも差が出ることがあります。

ただし、大切なのは「高価な材料だからよい」という単純な話ではありません。その方のお口にとって、必要な強さ、薄さ、安定性、見た目のバランスを考えたうえで、適切な材料を選べることに自費義歯の価値があります。

・製作手順
部分床義歯の仕上がりは、材料だけで決まるわけではありません。むしろ、どのように型を取り、どのように噛み合わせを記録し、どの段階でどのような確認を行うかという製作手順が、使い心地を大きく左右します。

保険診療でも丁寧に作ることは可能です。しかし制度上、製作手順は一定の枠の中で進める必要があるため、納得いくまで突き詰めて調整したい症例では限界が出ることがあります。

自費義歯では、必要に応じて、より精密な型取り、噛み合わせの確認、試適の回数、微調整の工程などに時間をかけやすくなります。

これは料理にたとえると分かりやすいかもしれません。同じ材料を使っていても、下ごしらえ、火加減、味の確認をどこまで丁寧に行うかで、出来上がりは大きく変わります。入れ歯も同じで、完成品だけでなく、完成までの過程の丁寧さが、快適さや長期的な安定につながるのです。

・完成後の管理
入れ歯は、入れたら終わりではありません。

実際に使い始めてから、「どこか当たって痛くないか」「外れやすくないか」「しっかり噛めるか」「残っている歯に負担が集中していないか」を確認し、必要に応じて調整を重ねていくことが重要です。

保険診療でも調整や修理は行えますが、制度上、個々の症例に対して理想的なペースや内容で対応することが難しい場合があります。入れ歯は道具ですから、使っていくうちにすり減り、合わなくなり、調整や修理が必要になります。完成後の管理まで見据えて治療できるかどうかも、自費と保険の大きな違いの一つです。

自費の部分入れ歯のメリット・デメリット

自費の部分入れ歯のメリット・デメリット

自費の部分入れ歯を選ぶメリット

自由診療で作る部分入れ歯は、保険診療に比べて制度上の縛りが少なく、患者さまが重視する点を優先して設計しやすいのが特徴です。

使用できる材料の幅が広く、設計の自由度も高いため、見た目、違和感、清掃性、耐久性に配慮した治療計画を立てやすくなります。その結果、金属が見えにくい、装着時の違和感が少ない、食事がしやすいといったメリットにつながることがあります。

自費の部分入れ歯のデメリットと注意点

一方で、入れ歯治療がうまくいくかどうかは、入れ歯そのものだけでなく、お口全体の状態に大きく左右されます。残っている歯の状態や配置、噛み合わせ、歯ぐきや骨の状態、さらに患者さまご本人の入れ歯への適応力によっては、そもそも入れ歯が向いていない場合もあります。

そのため、費用や時間をかけて自由診療で審美性や快適性を追求したとしても、必ずしもすべての方が満足のいく仕上がりになるとは限りません。だからこそ、治療前の診査・診断がとても重要になります。

自費の部分入れ歯の種類と特徴

自費の部分入れ歯の種類と特徴

自費の部分入れ歯にはさまざまな種類があり、それぞれ素材や構造、向いているケースが異なります。ここでは代表的な義歯の特徴と、当院としての考え方をご紹介します。

①金属床義歯(コバルトクロム・チタン)

自費の部分入れ歯として、最もイメージしやすいのが金属床義歯です。保険診療の入れ歯では本体を主に歯科用レジンで作りますが、金属床義歯では金属フレームの上に歯科用レジンを盛って作製します。

フレームが金属であるため強度が高く、たわみが少なく、薄く作りやすいのが特徴です。そのため、装着時の安定性に優れ、異物感を抑えやすい傾向があります。

金属フレームには、主にコバルトクロム合金とチタン合金を用います。

コバルトクロム合金は剛性が高く、強度と安定性に優れた金属です。とくにフレームの形が複雑になりやすい部分入れ歯と相性がよい材料といえます。一方で、この種の金属にアレルギーを持つ方が一定数おられること、比較的重さが出やすいことはデメリットです。

チタン合金は、コバルトクロム合金に比べると強度では一歩譲る面があるものの、軽く作りやすく、金属アレルギーが起こりにくいという利点があります。部分入れ歯にも使えますが、総入れ歯でとくに特性を活かしやすい材料ともいえます。

金属床部分義歯
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金属床義歯について当院の考え方

下高井戸デンタルオフィスで部分入れ歯を作るのであれば、第一選択になりやすいのが金属床義歯です。安定性に優れ、異物感の少ない入れ歯を目指しやすいため、患者さまの満足度につながりやすいと考えています。機能面を重視したい方には、とくにおすすめしやすい選択肢です。

なるべく目立たないように配慮して設計することは可能ですが、金属のバネがどうしても見えてしまう場合はあります。そのため、患者さまによっては審美面が気になることもあります。

当院では、部分入れ歯を作る際、基本的にはコバルトクロム合金を使用しています。ただし、症例やご希望によってはチタン合金を選択することもできますので、ご相談ください。

②コーヌスクローネ義歯(テレスコープ義歯)

コーヌスクローネ義歯は、歯に固定した内側の冠と、入れ歯側に固定された外側の冠がぴったり重なることで、入れ歯を安定させる仕組みです。茶筒や筒の蓋のようなイメージで固定されるため、想像以上にしっかり安定します。感覚としては、着脱式のブリッジに近いと感じる方もいらっしゃるかもしれません。

金属のバネで固定するタイプではないため、審美的な仕上がりになりやすいのが特徴です。また、通常の部分入れ歯がバネのかかる歯を中心に支えるのに対し、コーヌスクローネ義歯では複数の歯で支える設計になりやすく、力を分散しやすい点もメリットです。万が一、将来的に歯を失った場合でも、大掛かりな修理を避けやすいケースがあります。

一方で、残った歯に内冠を取り付ける必要があるため、たとえ虫歯のない歯であっても大きく削らなければならないことがあります。また、内冠と外冠の精密な適合が成否を大きく左右するため、熟練した歯科医師と歯科技工士でなければ、満足度の高い結果を得るのが難しい治療でもあります。治療期間や費用も大きくなりやすいのが欠点です。

コーヌステレスコープ義歯
コーヌステレスコープ

コーヌスクローネ義歯について当院の考え方

近年ではインプラント治療が確立され、残った歯を削らずに、比較的短期間で安定した治療を行えるようになってきました。そのため、多くのケースではインプラントのメリットが上回ると考えています。

ただし、インプラントが難しい場合には、コーヌスクローネ義歯はいまでも有力な選択肢です。下高井戸デンタルオフィスでは、コーヌスクローネ義歯の症例経験が豊富な歯科医師が治療にあたりますので、適応が気になる方はご相談ください。

③シリコーン義歯(コンフォートデンチャー)

とくに下顎では、骨が尖っていたり、粘膜が薄かったりすると、通常の入れ歯では噛んだときに痛みが出やすいことがあります。シリコーン義歯は、粘膜に当たる部分を柔らかいシリコーンに置き換えることで、痛みを和らげることを目指した入れ歯です。

既存の入れ歯では痛みが出てしまい、うまく使えない方にとっては、一つの救済策になりうる方法です。ただし、シリコーン部分にカビが生えやすい、入れ歯本体から剥がれてしまうことがあるなど、劣化や管理の難しさがあります。

シリコーン義歯について当院の考え方

シリコーン義歯も悪い選択肢ではありませんが、長持ちさせるための管理が難しい点は大きな問題だと考えています。

当院では、まずは痛みが出にくいように設計と調整を徹底し、必要に応じてインプラントや骨整形手術を併用して、お口の中を入れ歯で痛みが出にくい環境に整えることを重視しています。そのため、シリコーン義歯を第一に選ぶというよりは、ほかの方法で痛みの出にくい入れ歯を目指すことが多いです。

④マグネットデンチャー(磁性アタッチメント義歯)

マグネットデンチャーは、入れ歯に磁石を組み込み、根だけを残した歯のアタッチメントに磁力でくっつける入れ歯です。着脱しやすく、金属のバネが見えにくいというメリットもあります。

ただし、磁力は万能ではありません。横方向に揺さぶられる力には弱く、入れ歯そのものに十分な安定がなければ、磁石を使っても外れやすい入れ歯になってしまいます。

また、自分の歯の根を利用する都合上、その歯にトラブルが起こりやすい点にも注意が必要です。根の部分は虫歯になりやすく、装置の周囲は清掃も難しくなりがちです。歯周病のリスクもあり、汚れがたまると炎症が起き、ぐらつきが進んで支えとして使えなくなることがあります。さらに、歯ぎしりや食いしばりが強い方では、残した根に力が集中し、歯が割れたり抜けたりすることがあります。

マグネットデンチャー

マグネットデンチャーについて当院の考え方

マグネットデンチャーは、バネが見えにくく、着脱しやすいというメリットがあり、症例によっては有効な治療です。ただし当院では、第一選択として積極的におすすめすることはあまりありません。

理由は、磁石そのものよりも、それを支える歯の根を長く守ることのほうが難しいと考えているからです。そのため、適したケースはあるものの、長期的な安定まで見据えると、あえて第一選択にしないことが多いです。

⑤ノンクラスプデンチャー

ノンクラスプデンチャーは、本来金属で作るバネの部分を、歯ぐきに近い色の弾性樹脂で作る入れ歯です。見える部分に金属が出にくいため、入れ歯をしていると気づかれにくい審美的な入れ歯です。

ただし、金属のバネでしっかり固定するタイプの入れ歯とは異なり、樹脂で支えるためたわみやすく、噛む力をしっかり支えるのは得意ではありません。そのため、安定しにくく、硬いものを噛みたい場合や、入れ歯自体が大きい場合には、痛みやカタつきが起きることがあります。

また、一般的な入れ歯と異なる樹脂を使用しているため、修理しにくく、破損した場合は一から作り直しになりやすい点もデメリットです。

ノンクラスプデンチャー
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ノンクラスプデンチャーについて当院の考え方

下高井戸デンタルオフィスでは、インプラントが難しい場合や、ブリッジでは健康な歯を削りすぎてしまう場合に選択肢として検討することがあります。

積極的に噛むための入れ歯というよりは、見た目を補う目的で考えることが多い治療です。ただし、低侵襲に治療しやすいため、とくに前歯部では有力な選択肢の一つになりえます。

自費の部分入れ歯の費用相場と料金の目安

自費の部分入れ歯は、種類や設計、使用する材料、お口の中の状態によって費用が大きく変わります。まずは大まかな目安を知っておくことが大切です。

種類別の費用一覧

自費の部分入れ歯の費用目安は、以下の通りです。

  • 金属床義歯:30〜60万円
  • コーヌスクローネ義歯:50〜80万円
  • シリコーン義歯:10〜50万円
  • マグネットデンチャー:10〜60万円
  • ノンクラスプデンチャー:8〜30万円

ただし、これらはあくまで概算です。歯科医院ごとの治療方針や、お口の中の状態、設計の複雑さ、使用する材料によって費用は変動します。同じ種類の入れ歯でも、使用する金属や工程の違いによって金額差が出ることがあります。

奥歯1本だけなど欠損が小さい場合の費用は安くなる?

入れ歯の費用は、材料費と技術料の両方で構成されています。たしかに、使う材料が少ない小さな入れ歯のほうが、費用が安くなる傾向はあります。

しかし、入れ歯では技術料の占める割合が大きいため、1本分の入れ歯だからといって、2本分の半額になるとは限りません。欠損が小さくても、設計が難しいケースでは十分な技術と時間が必要になるからです。

部分入れ歯以外の治療法との比較

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ブリッジとの違い

ブリッジ

ブリッジは、失った歯の両隣の歯を一回り小さく削り、3本以上つながった被せ物で橋渡しをする治療です。失う前の歯に近い形で補いやすいため、違和感が少なく作れることがあります。

一方で、失った歯が担っていた負担を両隣の歯が肩代わりすることになるため、支えとなる歯へのダメージは大きくなりやすい治療です。両隣の歯にすでに被せ物が入っているのであれば有力な選択肢になりますが、未治療の健康な歯であれば、削る量が大きくなりすぎるため、当院では積極的にはおすすめしていません。

部分入れ歯と比べると、審美的で違和感が少ない一方、周囲の歯に負担をかけやすい治療といえるかもしれません。

インプラントとの違い

インプラント

インプラントは、顎の骨に人工歯根を埋め込み、その上に歯を作る治療法です。骨に直接固定されるため、非常に安定しやすいのが特徴です。

インプラント、ブリッジ、入れ歯を比較した研究では、インプラントのほうがよく噛めると報告されているものもあります。審美性にも優れ、金具が見えることもなく、本物の歯と区別がつかないと感じる方もいます。

一方で、費用が高額になりやすいこと、治療期間が長くなりやすいこと、外科処置が必要であることはデメリットです。全身状態や顎の骨の状態によっては、インプラントができない場合もあります。

部分入れ歯と比べると、審美的で違和感が少なく、周囲の歯に負担をかけにくい反面、費用、治療期間、身体的負担は大きくなりやすい治療です。

>インプラントの老後が不安な方へ|悲惨と言われる原因と、将来まで見据えた治療設計

人生100年 超高齢化社会に向けて

「インプラントは、寝たきりになると管理できなくなる」と言われることがあります。たしかにその指摘には一理あります。インプラントは治療が終われば終わりではなく、長く使うためには清掃や定期的な管理が欠かせません。寝たきりになり、十分な口腔ケアが難しくなれば、インプラント周囲炎などのトラブルが起こる可能性はあります。

しかし、この問題はインプラントだけに限った話ではありません。部分入れ歯を選んだ場合でも、支えになる歯には負担がかかりますし、清掃が不十分になれば歯周病にもなります。さらに、天然歯である以上、虫歯のリスクもあります。つまり、「老後に管理が難しくなる」という点だけを見れば、部分入れ歯も決して安全地帯ではありません。治療法が違っても、口の中に残る歯や装置にトラブルが起こる可能性は、どちらにもあるのです。

総義歯は口から外して洗えるため、インプラントや部分入れ歯に比べると構造がシンプルで、老後の管理という面では有利です。うまく作ればよく噛める入れ歯にすることもできます。ただし、どんなに良い入れ歯でも自分の歯やインプラントと比べれば食べやすさは一歩劣ります。そして管理が完全に不要になるわけでもありません。清掃ができなければ汚れがたまり、粘膜の炎症や痛みの原因となります。時間と共に適合が悪くなって使えなくなることもあります。

人生100年時代と言われる今、どの治療法を選んだとしても、寝たきりになってから歯科的なトラブルがまったく起こらない選択肢はありません。インプラントにも、部分入れ歯にも、総義歯にも、それぞれ老後の課題があります。だからこそ大切なのは、「絶対に安全な方法」を探すことではなく、自分の健康状態、家族の支援体制、介護を受ける可能性、そして何を大事にして生きたいかを踏まえて、将来を見据えた“歯の終活プラン”を考えておくことではないでしょうか。若いうち、元気なうちから、自分にとっての現実的で納得できる選択を考えておくことが、これからの時代にはますます重要になると思います。

成長過程

自費の部分入れ歯で長持ちさせるために大切なこと

自費の部分入れ歯で長持ちさせるために大切なこと

歯科医院選びが何よりも重要になる

部分床義歯は、単に「歯が抜けたところを補う装置」ではありません。しっかり噛めること、外れにくいこと、見た目が自然であること、話しやすいこと、そして残っている歯にできるだけ負担をかけないことまで考えて作る必要があります。

そのため、部分床義歯の仕上がりは、材料の違いだけで決まるものではありません。どのような考え方で設計し、どのような手順で治療を進め、完成後にどう管理していくかによって、大きく変わります。

つまり、自費の部分床義歯を選んだからといって、それだけでよい入れ歯になるわけではありません。本当に大切なのは、1つの入れ歯をどこまで丁寧に作り込める歯科医院かという点です。

入れ歯治療では、最初の診査・診断が非常に重要です。残っている歯の状態、歯ぐきや顎の骨の状態、噛み合わせ、歯の動揺、見た目の希望、使いやすさへの要望まで丁寧に確認しなければ、その方に合った設計はできません。ここが曖昧なまま治療が始まると、見た目だけ整っていても、噛みにくい、痛い、外れやすい、残っている歯に負担が集中するといった問題が起こりやすくなります。

また、部分床義歯は「型を取って作れば終わり」という治療でもありません。どこで支え、どこで維持し、どこに力を逃がすのかを考えながら設計し、型取りや噛み合わせの記録を丁寧に行い、試適の段階で細かな確認を重ね、完成後も調整を続けていく必要があります。この一つひとつの工程に意味を持って取り組んでいるかどうかで、完成度は大きく変わります。

患者さまから見ると、こうした違いは見えにくいかもしれません。しかし、実際には見えないところにどれだけ配慮できるかが、長く快適に使える部分床義歯につながります。

だからこそ、部分床義歯を検討する際には、費用や見た目だけでなく、どこまで設計にこだわっているか、どこまで精密に治療を進めているか、完成後の管理まで考えているかという視点で歯科医院を選ぶことが大切です。

とくに自費義歯を考える場合は、材料の説明だけでなく、
「どのように設計するのか」
「どのような手順で作るのか」
「完成後にどう調整・管理するのか」
まで、しっかり説明してくれる歯科医院が望ましいでしょう。

部分床義歯の価値は、目に見える材料の差だけではありません。隙のない設計、精密な製作、そして術後まで見据えた管理体制がそろってはじめて、本当に使いやすい入れ歯に近づきます。だからこそ、部分床義歯で後悔しないためには、「どの入れ歯を選ぶか」と同じくらい、「どの歯科医院で作るか」が重要なのです。

歯科医院での定期メンテナンスの重要性

どんなに精密に作った入れ歯でも、メンテナンスは必ず必要になります。入れ歯の下の歯ぐきや骨は、時間とともに少しずつ形が変わっていきますし、入れ歯自体も使用に伴って少しずつすり減ります。

そのため、長く使っていると、カタつきが出たり、食事がしにくくなったりすることは避けられません。軽い段階であれば、噛み合わせやバネの調整、材料を足しての修理などで、再び使いやすい状態に戻せることがあります。

しかし、不安定なまま使い続けてしまうと、入れ歯を支える歯や粘膜が傷み、最悪の場合は入れ歯自体が使えなくなったり、残っている歯を失ったりすることもあります。せっかく作った入れ歯を長持ちさせるためにも、少なくとも半年に一度は歯科医院で定期検診を受け、専門的にチェックを受けることが大切です。

毎日のセルフケアのポイント

入れ歯を長く使い続けるには、毎日のお手入れが欠かせません。入れ歯に汚れがたまったままだと、細菌やカビが繁殖し、歯ぐきの腫れや口臭の原因になることがあります。

入れ歯は毎食後に外して洗うのが基本です。流水下で、やわらかめのブラシを使ってやさしくこすり洗いします。部分入れ歯は入り組んだ構造をしているため、細かい部分まで意識して汚れを落とすことが大切です。

就寝時は、入れ歯を外して水や入れ歯洗浄剤に浸けておきます。洗浄剤は、ブラシだけでは落としきれない汚れの除去に役立つため、使用をおすすめします。ただし、洗浄剤の種類によっては入れ歯の材質を傷めるものもあるため、入れ歯を作った歯科医院で使用可能な製品を確認するようにしてください。

そして忘れてはいけないのが、ご自身の歯のケアです。入れ歯を使うと、どうしても歯に汚れがたまりやすくなります。バネのかかる歯が虫歯や歯周病でだめになると、入れ歯の修理や作り直しが必要になることもあります。

当院が部分入れ歯の患者様に必ずお伝えしていること

当院が部分入れ歯の患者様に必ずお伝えしていること

部分入れ歯は、身体的な負担が比較的少なく、歯を失った本数が多い場合でも短期間で治療しやすい方法です。

しかし、だからといって、甘い設計のまま不適合な入れ歯を使い続けると、その入れ歯はお口の中を傷つける凶器のような存在になってしまうことがあります。

そうならないためには、お口の中で調和し、違和感が少なく、無理なく使える入れ歯を目指して治療する必要があります。自由診療の入れ歯では材料に注目が集まりがちですが、本当に大切なのは、綿密な設計のもとで、材料の特性を活かしながら丁寧に作り込めるかどうかです。

私たちは、部分入れ歯を「ただ欠損を補う装置」とは考えていません。残っている歯やお口全体を守りながら、長く安定して使える治療として考えています。だからこそ、部分入れ歯をご検討の際には、材料の名前だけで判断するのではなく、どのような考え方で作るのかまで含めて歯科医院を選んでいただきたいと思います。

まとめ:自費の部分入れ歯は種類ごとの特徴を理解して選ぶことが大切

自費の部分入れ歯には、金属床義歯、コーヌスクローネ義歯、シリコーン義歯、マグネットデンチャー、ノンクラスプデンチャーなど、さまざまな種類があります。それぞれに特徴があり、向いているケースも異なります。

大切なのは、「高い入れ歯を選ぶこと」ではなく、ご自身のお口の状態や希望に合った治療を選ぶことです。そして、その治療をきちんと設計し、丁寧に作り、完成後までしっかり管理してくれる歯科医院を選ぶことです。

部分入れ歯は、選び方と作り方によって、使い心地も長持ちしやすさも大きく変わります。東京都世田谷区で自費の部分入れ歯をご検討の方は、ぜひ下高井戸デンタルオフィスまでご相談ください。

執筆者情報

写真:瀧本 将嗣

院長/歯科医師

Masatsugu Takimoto

【経歴】
1997年 広島大学歯学部卒業
2004年 シエル歯科クリニック開設
2007年 医療法人社団瀧の会設立
2024年12月 下高井戸デンタルオフィス移転開業

【所属学会】

  • 厚生労働省認定臨床研修指導歯科医
  • 日本臨床歯周病学会 認定医
  • 日本歯周病学会
  • 日本顕微鏡歯科学会
  • アメリカ歯周病学会(AAP)
  • 日本先進歯科医療研修機関(JIADS)

歯周病系の学会やスタディグループに所属し歯周病治療やインプラントの研鑽を積むが歯髄保存やダイレクトボンディングも得意とする。
長持ちする治療をモットーに、できるだけ患者ニーズに応えられるようにしている。