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コラム歯周病

『定期検診で「歯周ポケットが4mmあります」と言われたけれど、それって悪いの?』

『奥歯に6mmのところがあると言われた。もう手遅れなのかな』

『痛みも腫れもないのに、数字だけ言われて不安』

歯科医院の検査で読み上げられる「4」「5」「6」といった数字は、歯周ポケットの深さを表しています。ただ、その場で詳しい説明がなく、帰宅してから「何ミリから危ないのか」を調べる方も多いのではないでしょうか。

歯周ポケットの深さは、歯周病がどこまで進んでいるかを知るための大切な目安です。特に4mm・6mmは、治療によって改善が見込めるか、それとも外科的な治療を考える段階に入るかの分かれ目になりやすい数値です。

このページでは、歯周ポケットの深さ別に歯周病の進行度と必要な治療をまとめ、8mm・10mm以上と言われた場合の考え方や、数値だけでは判断できないポイントまで解説します。

東京都世田谷区の下高井戸デンタルオフィスでは、日本臨床歯周病学会認定医である院長が、歯周ポケットの検査結果とレントゲンをもとに、歯をできるだけ残すための治療をご提案しています。検査で深いと言われて不安な方は、お気軽にご相談ください。

歯周ポケットの深さ4mm・6mmと言われたら|まず知っておきたい数値の意味

歯医者さんで「歯周ポケットが〇mmでした」なんて言われたことがありませんか?この歯周ポケットという指標は直感的には少し分かりづらいかもしれません。実際、下高井戸デンタルオフィスにも「それってまずいのか」と調べてセカンドオピニオンに来られる方が多くいらっしゃいます。この記事では分かりにくい歯周ポケットの数値について解説していきます。

歯周ポケットとは|正常な深さは1〜3mmが目安

元々、歯と歯ぐきの境目には歯肉溝と呼ばれる溝があります。健康な歯ぐきは引き締まっており、正常な歯肉溝の深さは1〜3mmとされています。しかし清掃不良な状態が続き、歯垢や歯石が溜まると歯周病になります。歯ぐきは腫れ、歯を支える骨が溶けます。その結果、歯肉溝の深さが4mm以上になることがあります。この状態の歯肉溝を「歯周ポケット」とよびます。歯周ポケットが深い部分は歯周病が進行しており、今後さらに悪くなりやすい部位と言えます。

※一般的には1〜3mmの状態でも歯周ポケットと呼ぶことが多いため、この記事では便宜的に歯肉溝も歯周ポケットと呼んでいます。

検診で読み上げられる数字は何を測っているのか|測り方と出血の有無

検診で読み上げられる数値はプローブという目盛り付きの器具で歯周ポケットの深さを測った数値(mm)です。歯1本につき6ヶ所計測しており、測定時に歯周ポケットから出血するか(BOP)も記録します。BOPは炎症の有無の指標です。現在進行形で歯周病が進んでいる部位ということになります。歯周病検査には様々な指標がありますが、歯周ポケットの深さと出血の有無は特に重要な指標になります。

歯周ポケット検査 プローブが入る深さと出血の有無をみる

【深さ別】歯周ポケット4mm・6mm・8mm以上でわかる歯周病の進行度

同じ歯周病であっても歯周ポケットの深さによってその状態、治療法は大きく異なります。

このパートでは歯周ポケットの深さに応じてそれぞれ整理していきます。

歯周ポケット3mm以下|健康〜歯肉炎の範囲

歯周ポケットが3mm以下の場合、歯周病が悪化するリスクは低めであると言えます。しかしBOPがあれば要注意です。不潔な状態が続いており歯肉に炎症があるということですから、歯周病に進行する可能性もあります。セルフケアの改善や歯科医院でのクリーニングなどの対応が必要になります。
歯周ポケットは正常値だが歯茎が赤く腫れている歯肉炎

歯周ポケット4mm|歯周病の始まりで、改善の見込みが大きい段階

歯周ポケットが4mmの場合、軽度の歯周病になっていると言えます。歯周ポケットの中に歯石がつき始めている可能性が高く、放っておくとより治療の難しい状態へと進行してしまいます。ですがこの状態であればまだ対処が可能で歯を残せる可能性が高いです。

深さ4mmは治る?|歯石除去とセルフケアで改善することが多い

歯周ポケットができる原因はいくつかありますが、歯垢や歯石が原因であれば歯科医院での歯石の除去と日々のセルフケアの徹底で改善が見込めます。ただし改善したかどうかは再評価の検査数値で確認する必要があります。

歯周ポケット5mm〜6mm|中等度〜重度の入り口で、歯ぐきの中の歯石が鍵になる

歯周ポケットが5〜6mmの場合、歯を支える骨がすでにある程度失われています。歯石除去だけで改善する場合もありますが、根の分かれ目(根分岐部)や吸収した骨の窪みに歯石が溜まっているなど、歯石除去だけでは対応できない場合も増えてきます。ガイドライン的にも深い歯周ポケットやBOPが残る場合は歯周外科処置をすることを推奨しています。
6mmのポケットを歯石除去のみで治療した症例

6mmのポケットを歯石除去のみで治療した症例

6mmは改善できる?|縁下歯石を取り切れるかで結果が変わる

歯周ポケットが6mmであってもポケットの中の縁下歯石を取り除くことができれば改善が見込めます。一方、取り残しが多ければ何年経っても変化はありません。一般的に歯周ポケットが6mmとなると奥歯では根の分かれ目(根分岐部)が関わってくることがあります。歯によっては熟練した歯科衛生士でも縁下歯石除去が難しくなってきます。
6mm以上の歯周ポケット、視野は限られている 縁下歯石を取り除くのは手探りの感覚

歯の根の股、窪み どうしても歯石を取り除けない部分もある

>>「歯石取りは意味ない」と言われる理由|縁下歯石と数値で見る歯周病治療の考え方

歯周ポケット7mm〜8mm以上|骨が大きく失われ、外科的な治療を検討する段階

7mm以上の歯周ポケットでは歯石除去のみでの治りが期待しにくくなってきます。実際6mmまでのポケットと比べて7mm以上のポケットでは、歯石をとっても深いポケットが残りやすいとする論文が出ています。これはそもそも歯周ポケットが深く、歯石を取り除くのが難しいという点と、すでに骨が大きく溶けており、治療がうまくいっても元の水準まで戻りきらないという点が関係しています。

ここまで歯周病が進行していると、歯がぐらぐらしたり、痛みが出るようになることがあります。

必要に応じて歯ぐきを切開して直視で歯石を取り除く手術や、溶けてしまった骨を再生する手術を検討することがあります。
歯茎を開いて歯石を確認 目視下で取り除く技術

歯周ポケット10mm以上|根の先近くまで骨がない状態

歯周ポケットが10mm以上になると歯を支える骨がほとんどなくなっており、歯ぐきだけで支えているような状態になります。ここまで深い歯周ポケットは改善が難しく、抜歯するか、前述の歯ぐきを切開して直視で歯石を取り除く手術や、溶けてしまった骨を再生する手術を併用しつつなんとか延命していくことになります。
歯周ポケット10mm以上|根の先近くまで骨がない状態

歯周ポケット10mm以上|根の先近くまで骨がない状態のレントゲン画像

歯周ポケット10mm以上|根の先近くまで骨がない状態

歯周ポケットは深さの数値だけでは判断できない|あわせて確認すべきこと

ここまでお伝えしてきたように歯周ポケットの深さは歯周病の状態を知る上で重要な指標になります。しかし、これだけで歯周病の状態を完全に把握することはできません。歯科医師や歯科衛生士は他にも様々な資料をみて総合的に状態を把握しています。

レントゲンで骨の状態と歯石の付着を確認する

同じ5mmの歯周ポケットでも健康な3mmのポケットから歯ぐきが2mm腫れてできたものか、歯ぐきは腫れていないが2mm骨が溶けてできたものかで治療方針が大きく異なります。前者は仮性ポケット(歯ぐきの腫れで深く測れる場合)、後者は真性ポケット(骨が失われて深くなっている場合)といいます。

レントゲン画像を駆使することで歯ぐき、骨、歯石の状態が分かるようになります。レントゲン画像にはいくつか種類があります。全体像を把握できるパノラマレントゲン、1本ずつの歯の状態がよく見えるデンタルレントゲン、骨の状態が立体的に把握できるCTがあります。症例に応じて必要なものを撮影し診断に役立てています。

パノラマレントゲン 歯を支える骨の連続性や歯並びなど全体像を掴むのに適している

デンタルレントゲン 詰め物の状態や歯石など1本ずつの歯の状態を掴みやすい

CT 骨が溶けている様子や歯の根の形状を三次元的に掴みやすい

「一か所だけ深い」歯周ポケットは自覚がないまま進みやすい

歯周ポケットが深いと言われた時、全周が深い場合と一箇所のみが深い場合があります。一箇所のみが深い場合、歯のその部分に何らかの原因があります。根の表面に溝があり汚れが溜まりやすい、根の分かれ目(根分岐部)があり歯石がついているなどです。範囲が狭いため、自覚がないことも多く、歯石を取るのも難しいケースが多いです。その代わり、溶けた骨を再生する手術とは相性が良く、劇的に改善する症例もあります。

ただし、一箇所だけ歯周ポケットが深い場合、原因が歯周病ではないこともあります。詳しくは次項をご覧ください。

歯周病が原因ではない歯周ポケットもある

歯自体にヒビや割れがあると一箇所だけ深い歯周ポケットになる場合があります。レントゲン画像で歯の状態を確認したり、マイクロスコープで歯の内部からヒビがないか確認することで診断します。歯周病が原因でない場合はいくら歯石をとっても改善することはありませんので原因を見極めることが大切です。
一点だけ深い歯周ポケットの原因

歯周ポケット4mm・6mmを改善するための治療の流れ

歯周病が原因の場合、歯周ポケットが深いと言われても4mmや6mmではいきなり抜歯になることはありません。まずは歯石の除去を行います。歯ぐきの治りを待って再評価を行い、必要があれば歯周外科、再生療法を実施します。歯周ポケットの数値が3mm以下にならなかった場合でも、必ず抜歯が必要というわけではありません。残すメリットと残すリスクを天秤にかけて治療方針を決めます。

>>歯周病・歯周組織再生療法について詳しくはこちら

まず行うのは抜歯ではなく、ポケットの奥の歯石除去(歯周基本治療)

重度の歯周病であっても歯周病治療の第一歩は歯石の除去からです。歯周病の炎症の原因は歯周ポケットの中の歯石です。抜歯や歯周外科処置を行う前提であっても歯ぐきの炎症を改善させておくことで術後の良好な治癒が期待できます。ですから歯周病の治療において歯石取りはまず一番初めに行う治療で、不可欠な治療といえます。

「麻酔をして歯石を取るだけ」に見える処置で、実際に行っていること

縁下歯石を麻酔をして取り除く処置は、歯ぐきの下の外から見えない部分を最大で6回に分けて処置するため治療を受けられている患者様からすると何をしているのかよくわからないと思います。歯周病進行の原因の一つである縁下歯石を取り除いているのですが、縁下歯石は歯の根に硬くこびりついており簡単には取れません。そして複雑な形状の歯の表面についているのを手の感覚のみで探知する必要があります。歯石の取り残しがあると歯周病を治すことはできません。お口の中全体をくまなくチェックするためにも同じ治療を部位を変えて繰り返し行う場合があります。また、歯石をとった結果、歯ぐきの腫れが引くと新たに歯石が見えやすくなることがあります。場合によっては同じ箇所の治療を複数回繰り返すこともあります。

歯石を除去 縁下歯石がレントゲンに映っている 歯石を取り除いて再度確認

治療後は再評価の検査で深さと出血の変化を確認する

歯石除去後、歯ぐきが落ち着いた段階で再評価を行います。改めて歯ぐきの検査を行います。歯周ポケットの深さ、出血の様子を見て追加の処置を検討します。また歯石除去の効果が薄い場合は、歯周病以外の原因を疑うこともあります。

細菌検査で歯周病のリスクを判定する

歯周病の進みやすさの違いはその人の歯周病菌のバランスが原因であることがあります。実は歯周病に関連する細菌は100種類以上もあると言われています。これらのバランスが崩れると歯周病はどんどん進行すると言われています。特にレッドコンプレックスと呼ばれる3種類の細菌は特に悪性度が高く、口腔内の細菌バランスを乱します。歯周病細菌検査でレッドコンプレックスの有無や量を調べることで歯周病リスクを推測することができます。
歯間ブラシで歯垢を採取

PCR検査で歯周病菌を検査 歯周病リスクを調べる

45分で検査終了 その場で自分のリスクがわかります

それでも深い場合|歯ぐきを開いて歯石を取り除く歯周外科治療

通常の歯石除去では改善が見られない場合は歯ぐきを開いて歯石を取り除く手術を行う場合があります。直接目で見て歯石を取り除くことができるため、通常の歯石取りよりも効果が期待できます。

歯ぐきを開くと見える、骨のない部分と根に付いた黒く硬い歯石

骨が溶けてできた窪みに歯石がへばりついています。薄黄色の縁上歯石と違って縁下歯石は黒く、硬く、こびりついています。
歯石を除去

骨を作る歯周組織再生療法|年齢によって結果が左右される

すでに骨が大きく失われていると歯石を取り除いて、歯周病が改善しても歯周ポケットが残る場合があります。深いポケットは歯のぐらつきや歯周病の再度悪化の原因になります。歯周組織再生療法を用いれば、失われた歯を支える骨を再生できるかもしれません。治療がうまくいけば7〜8mmのポケットが3〜4mmに改善する症例もあります。歯周病から歯を守る上で非常に有効な選択肢になります。ただ、注意すべき点もあります。再生療法は非常に難易度の高い処置です。また、治療を受ける患者様の免疫力や治癒力に成否が大きく左右されます。必ず結果が出るわけではないからこそ、まず何よりも歯周病にさせない、悪化させないことが大切です。
歯周組織再生療法

歯を残すのが難しい場合の選択肢|抜歯・インプラントは最後に検討する

現実的な問題として、ここまで治療を行っても歯を残すことが難しい場合もあります。歯周病が進行するとその影響が周囲の歯へ広がることもあるため、やむをえず抜歯することがあります。歯を失った場合にはインプラントやブリッジ、入れ歯で歯を補います。ただし、抜歯をするのはあくまで最終手段です。その前に歯を残せる選択肢を探していきましょう。

>>インプラントについて詳しくはこちら

歯周ポケットの深さを悪化させないために|セルフケアと定期検診

歯磨き・フロス・歯間ブラシで改善できるのは歯ぐきの炎症まで

セルフケアで改善が期待できるのは歯ぐきの腫れです。歯ブラシや、歯磨き粉、デンタルフロスは歯周ポケット内の汚れには届きません。歯石を剥がせるほどのパワーもありません。従って進行した歯周病はセルフケアだけで治療することはできません。ですが、全ての歯周病は必ず歯ブラシでも取れるような縁上の柔らかい歯垢から始まります。歯ブラシには効果がないのではなく、歯ブラシの得意分野は歯周病のはじめの一歩を阻止すること、歯肉の炎症を抑えることなのです。

4mm・6mmの段階から定期検診・メインテナンスに通うことが歯を残す近道

歯周病は進行するほど治療が難しくなる病気です。ポケットが浅いほど治療は楽に進みますから、歯周病の疑いがある場合は早めに定期検診に通い始めることをおすすめします。また定期検診は下高井戸デンタルオフィスでも健康保険で受けることが可能です。当院の院長は日本臨床歯周病学会認定医であり、歯周組織再生療法の経験も豊富です。また、歯科衛生士も歯周病の学会に参加、症例発表を行うなど医院をあげて歯周病治療に力を入れています。歯周病でお悩みの方は是非ご相談ください。

歯周病でお悩みの方は是非ご相談ください。

>>歯のメインテナンスについて詳しくはこちら

歯周ポケットの深さに関するよくある質問

Q. 歯周ポケットの深さは年齢で平均が違いますか?

年齢とともに歯周病の方が増える傾向にあります。ですから歯周ポケットが深い方は多くなりますが、加齢そのものが歯周病の原因になることはありません。また、若くても歯周病の方もいらっしゃるので若いからといって歯周病の心配がないわけではありません。

Q. 歯周ポケットが4mmと言われたのに、特に治療の説明がないのですが、大丈夫でしょうか?

歯周病の治療計画は歯周ポケットの深さだけでは決まりません。ポケットの深さがどう変化してきたかや出血の有無、被せ物の状態など総合的に見て治療の方針を決めます。医院や担当医の考え方によって治療計画に違いがあることはよくあります。もし気になるようであれば担当の歯科医師や歯科衛生士に説明を求めたり、セカンドオピニオンを受けるのも手かもしれません。

まとめ:歯周ポケットの深さ4mm・6mmは、歯を残すための分かれ目

4mmや6mmの歯周ポケットは条件が合えば大きく改善することが見込めます。歯周病治療は歯周ポケットの深さだけでは判断できません。骨の状態や歯周病細菌、噛み合わせなど総合的に含めて判断する必要があります。そうした検査のもとにまずは歯石取りから治療を始めます。歯周組織再生療法などを活用していきます。それでもダメな場合に、ようやく抜歯となります。

検査で歯周ポケットが深いと言われてしまった方、歯周病が進行している疑いがある方、ぜひご相談ください。

>>症例集について詳しくはこちら

執筆者情報

写真:瀧本 将嗣

院長/歯科医師

Masatsugu Takimoto

【経歴】
1997年 広島大学歯学部卒業
2004年 シエル歯科クリニック開設
2007年 医療法人社団瀧の会設立
2024年12月 下高井戸デンタルオフィス移転開業

【所属学会】

  • 厚生労働省認定臨床研修指導歯科医
  • 日本臨床歯周病学会 認定医
  • 日本歯周病学会
  • 日本顕微鏡歯科学会
  • アメリカ歯周病学会(AAP)
  • 日本先進歯科医療研修機関(JIADS)

歯周病系の学会やスタディグループに所属し歯周病治療やインプラントの研鑽を積むが歯髄保存やダイレクトボンディングも得意とする。
長持ちする治療をモットーに、できるだけ患者ニーズに応えられるようにしている。